巻頭句 巻頭とは?
2021年11月
巻頭句
奥本 えつ[静岡]
- ❖ 新涼や筆の掠れの撥ね上がり
- ❖ 目力の坦庵自画像秋時雨
- 携帯の指紋認証星月夜
- 重陽や富士の冠雪消ゆる午後
- 手の届く枝の先なり新松子
次巻頭
前田 拓[埼玉]
- 一点の蜻蛉の尻の波紋かな
- 殿様飛蝗貌より着地してゐたり
- 嬰児のうぶ毛の乾く良夜かな
- ❖ 満月やおむつにひとつづつ名前
- ❖ 歯みがきの仕上げにかかり夜長かな
三席
田辺 みのる[東京]
- 日輪の坂転がりてゆく西瓜
- 対流圏ほどの薄さよ桃をむく
- ❖ 霧なかの柱の二本ありぬべし
- 秋の暮かげは輪郭翳の色
- ❖ すずむしに睡りすずむしより覚むる
❖印=石 寒太主宰特選
巻頭とは?
炎環の俳句作家は、同人と一般会員に分かれます。一般会員は毎月5句を投句しますが、石寒太主宰はそれらのすべてに目を通し、必要に応じて添削もします。そのうえで主宰は、5句全体に対し、秀逸と認めた順に作品を並べ、その順に従って「炎環」誌に掲載します。
このページでは、その1位の作品を「巻頭」、2位を「次巻頭」、3位を「三席」と呼んで、それぞれの作品を紹介します。(同人についてはこちら)