巻頭句 巻頭とは?
2023年12月
巻頭句
谷村 康志[埼玉]
- ❖ 月天心コンビナートと波の音
- 初七日の夜霧染めゐる駅舎の灯
- 勉強のふりしたる背置く夜食
- ❖ 捨て猫のこゑを振り切り秋遍路
- 虫籠や雨に暮れたる判決日
次巻頭
春山 枝実子[群馬]
- ❖ 鬼やんまへひと声もなし棺かな
- 星月夜妻恋ひ船の漕ぎ出でし
- 父還り秋海棠の昼暗し
- 父の庭色しなやかに秋海棠
- ❖ コスモスの牛舎囲みし父は亡し
三席
平井 葵[東京]
- をとこの嫉妬をんなのそねみ秋暑し
- ❖ 新涼の鴉スキップしてゐるよ
- 楓一葉地に着くまでの虚しさよ
- ❖ 天高し廐舎に小さき薬箱
- 立飲みの牛乳甘し秋の空
❖印=石 寒太主宰特選
巻頭とは?
炎環の俳句作家は、同人と一般会員に分かれます。一般会員は毎月5句を投句しますが、石寒太主宰はそれらのすべてに目を通し、必要に応じて添削もします。そのうえで主宰は、5句全体に対し、秀逸と認めた順に作品を並べ、その順に従って「炎環」誌に掲載します。
このページでは、その1位の作品を「巻頭」、2位を「次巻頭」、3位を「三席」と呼んで、それぞれの作品を紹介します。(同人についてはこちら)