ピックアップ同人句 同人とは?
2024年11月
マヤ暦
関根 誠子
- 灼け道やわが影を越す蝶の影
- 元住みし婚家の草いきれ痛し
- 明易のまた取り出して読む手紙
- マヤ暦は既に終はりし蟬しぐれ
- 黒門へ辰五郎碑へ涼気過ぐ
新涼
山口 紹子
- 新涼や目薬頰をつたひをり
- 夜の部屋秋の蚊一匹とわたくしと
- 早送りで観てゐる映画獺祭忌
- 草の絮振り向きもせぬ「さやうなら」
- 唐突に宇宙の話竜淵に
旧姓
神宮 安見子
- 盆支度香炉の灰を均しけり
- 夏休み降りしふたりを待つホーム
- 大皿の揚げたて天麩羅魂祭
- 魂まつり従兄弟同士の膨るる環
- 手つなぐ子に問はれし旧姓魂送り
子規の胸息
北 悠休
- 鶏頭や子規の胸息試したき
- 十七の父は予科練赤とんぼ
- 「束ねないで」と叫ぶ少女やこぼれ萩
- 螻蛄鳴くや九人並ぶ茶番劇
- 秋気澄む義足の翔くるパリの空
花火果つ
峰村 浅葱
- 乱れなき胡弓や月を間近にす
- 一葉を乗せる秋風散歩道
- 花火果つ前をゆく背の無口なる
- 台風過修理工場に灯のひとつ
- 満月や餅つく父と母の見ゆ
反転
前田 拓
- 原稿に大きく× や蟬時雨
- 大花火よりひらきたる煙かな
- 子に代はる電話八月十五日
- さういへば知らぬ好物盆用意
- 車椅子上半身の盆踊
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)