ピックアップ同人句 同人とは?
2020年2月
行く年
中尾 硫苦
- 行く年やぶつかりぶつかり街泳ぐ
- 病む妻の布団整して年惜しむ
- 妻の灯を落とせば寒し全病棟
- 着ぶくれて頑固一徹しまひこむ
- 大根の先づは席取るおでん鍋
鳥になりたき子
伊藤 航
- イライラのわけはいろいろ花八手
- 冬青空土蔵の壁の穴の奥
- 宝物館中庭もみぢ明かりかな
- 大涅槃図の獅子の大哭き初時雨
- 天高し鳥になりたき子の双手
花柊
道坂 春雄
- 気づかひのことばのひとつ花柊
- 絵本読むマスクの姉妹待合室
- 眼帯の破顔の妻やシクラメン
- セピア色の写真一枚冬至の湯
- 寒柝の遅れし少年声高し
初冬
宮岡 光子
- 縁側は父の書斎よ返り花
- 初冬や栗鼠の尾走る切通し
- 十二月八日をり紙蛇腹折り
- 羽繕ふ流木の鳥石鼎忌
- 冬の雨榎老樹の力瘤
海面下
高橋 透水
- 氷山の崩るる沖や雄鯨
- 子鯨の尻尾で叩く夕陽あり
- 潮吹くや夕日を濡らす若鯨
- 海面下交信しあふ鯨群
- 捕鯨船より新年祝ふメール
余生1
太田 一貴
- 菜園の下仁田葱さげ詫びにけり
- 体感の地震の三度や日向ぼこ
- 犬の誕生日極月の真珠湾
- みな老いを背負ひ落ち葉の遊歩道
- 大枯野掌ほどのスカイツリー
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)