ピックアップ同人句 同人とは?
2020年3月
渋民村
辺見 狐音
- 冬牡丹渋民村の幹低し
- 冬の虹ふるさとのものみな古ぶ
- 幸せは生きてゐてこそ年用意
- 横町の香りのこもるおでんかな
- 老人と何も語らず日向ぼこ
小晦日
丹羽 晶子
- 三つ続く橋の名の駅小晦日
- 寒の水痩せ龍小さく首傾ぐ
- 神へ向く神楽の後ろ姿かな
- 雨音の百年転がつてゐる林檎
- 凍り付く河童の甲羅眠れねむれ
遠い声
横山 惠子
- 山茶花や同じ造りの家三軒
- 真ん中は祖父母の位牌初燈
- 初夢や記憶の端にありし声
- 初春の光背負ひし道祖神
- 臘梅に来て居る鳥に名を付くる
落雁
伊藤 俊昭
- 落雁の舌にとけゆく十二月
- 猫舌の食道落や牡丹鍋
- 数へ日や上京といふ大仕事
- モノレールの大きく曲り冬の富士
- 奥の歯の必ず痛む十二月
若水
栃倉 千江子
- 若水の深き一汲み濃茶点つ
- 真剣な子犬の構へ独楽唸る
- かんたまごと呟いてゐる寒卵
- 赤い手で達磨ストーブ焚きし日よ
- 瞳濃きキャリアウーマン寒椿
冬木の芽
大西 ぼく太
- 数へ日や昼餉素うどん夜餃子
- マンションの大規模修繕冬の鵙
- 育休の料理教室室の花
- 交番の家族調査や冬木の芽
- 冬の鵙一笑塚の願念寺
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)