ピックアップ同人句 同人とは?
2020年7月
鶯
下田 恭子
- 鶯のひと声聞かせそれつきり
- 春うらら指一本の音合せ
- 薔薇深紅一輪挿しへ背を正し
- 水黽の細き手足を使ひをり
- 山法師少し離れて見上げけり
藤は実に
竹内 美穂
- 明け易し今日もコロナのニュースから
- 四月尽読んで詠つて観て眠る
- 人隔つ無臭の敵よクレマチス
- 逃げ道の答弁いくつ藤は実に
- ストライプの手作りマスク花は葉に
抜ける
箱森 裕美
- 春宵に卵をひとつ盗みをり
- 春の果をみな名の店並ぶ路地
- ネイルして爪のくるしき若葉かな
- 夏の川トランペットを風抜ける
- 天道虫草重なりてなす影は
聖五月
小咲 まどか
- 自転車の重たきペダル夏蓬
- 「日本の歴史」二十巻時鳥
- 遠雷や季節外れの切手貼る
- まつさらの制服仕舞ひ五月逝く
- 聖五月烏の嘴に光
蝶の昼
綿貫 春海
- 人逃る一羽の鴉花の昼
- 身を縮め巣ごもるコロナ禍の地球
- 指切りの夫婦銀杏の花咲けり
- 医療従事者への拍手蝶の昼
- 桜蘂母の墓標へ降りにけり
甘嚙み
高橋 橙子
- 甘嚙みの猫のやさしさ春の夜
- 熟成室の肉の塊月おぼろ
- 猫の背の大き瘡蓋春深し
- 青梅や夫の老眼鏡つかひをり
- 時計草昭和の色濃きシネマ館
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)