ピックアップ同人句 同人とは?
2020年10月
夜の秋
丹間 美智子
- 夏夕べ買はないものを見て歩き
- 深梅雨や事故検証の赤色灯
- コロナ二波冷し中華にすこし噎せ
- 梅雨霧や路地に異界の理髪灯
- 夜の秋投函の音一直線
午後
一ノ木 文子
- 子蟷螂の斧やどこにも行かぬ午後
- 夕焼けのいつも空つぽ金魚鉢
- 何にでもかがむ子の背よ白日傘
- 猫ねむるゑのころ草の風の原
- 八月の昏さ抜けたる火焰土器
山の日
片岡 宏文
- 出し抜けの蟬時雨あり散策路
- 晩年の気迫と思ふ蟬時雨
- ベランダの夕餉を囃す蟬時雨
- 黙祷の鐘慌し長崎忌
- 山の日の空低くあり書斎窓
去々来々(133)
市ノ瀬 遙
- 暮るるまで母にほほづき灯しけり
- そつくりは甥の方なり蒲の花
- 夜の秋疲れのみえし春画かな
- 風鈴の二階の風をとらへけり
- 秋暑し妻に明るく叱らるる
さかな班
谷村 鯛夢
- 弟も父系の巻き毛梅雨深む
- 梅雨明けやどこぞよりネコフンジャッタ
- 廃屋を御殿と群れて大揚羽
- 気に入りの一番軽い夏帽子
- サンダルや生きもの係さかな班
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)