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炎環の俳句

ピックアップ同人句 同人とは?

2021年3月

淋しいぞ

関根 誠子

  • つつがなく自転公転聖夜来る
  • 感染発表聖菓灯さむとする耳に
  • 冬夕焼おもはぬ人を思ひ出す
  • 年暮れぬ土竜心地も十ヶ月
  • 淋しいぞこつちへこーい雪ばんば

石蕗の花

三角 千榮子

  • 冬すみれ道草好きの犬の鼻
  • 宝幢寺へ新たな径や万年青の実
  • 家光の鷹場の杭よ梅つぼみ
  • 冬紅葉角まがり来る乳母車
  • 夫の夢ひとつ受け継ぐ石蕗の花

軽くなる体

結城 節子

  • 極月の歩けば軽くなる体
  • 新調のC D ラジカセレノンの忌
  • 処女句集読む極月の壁を背に
  • 狐火を見しより唇の渇きけり
  • 行く年やコロナ病棟窓明り

久女忌

中西 光

  • こがらしや山門屋根の守り猿
  • 光秀の等身位牌冬の虫
  • 新刊の俳句歳時記冬木の芽
  • 「松之大廊下」の小さき碑寒すずめ
  • 蒼天の雲ひとひらや久女の忌

存問

水沢 水音

  • 冬あたたか両の掌の中ほほふたつ
  • 僅かかな静寂に初音母の詩
  • 政治家のエビデンスよ春の七草
  • 打ち響くがらん堂より百八
  • 侘助やいま存問のむかうがは

いまさら

内野 義悠

  • 繰り返す上書き保存大晦日
  • サイフォンを昇る湯の音雪もよひ
  • マフラーをほどく今さら湧く言葉
  • 寒晴や色紙を叩く力士の掌
  • 珪藻土マット足跡かさね日脚伸ぶ


同人とは?

炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。

このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら