ピックアップ同人句 同人とは?
2021年4月
春の雲
稲見 寛子
- 春の雲はは生国を出でざりき
- 眼張煮のゆつくり移す皿ふたつ
- まなかひに春の雪ふり検温器
- 繰り返す体幹体操二月尽
- 手の上に更級日記梅月夜
春浅し
山口 紹子
- 外套のタバコの匂ひ寒の雨
- そこそこのしあはせ白き葱刻む
- 空港にひびく靴音春の雪
- 春立てる駅に顔なき人の群
- 春浅しC T 画像のわが髑髏
ちろりちろり
大鋸 颯人
- 雅語並べ立春称ふ朋の文
- 去年今年遺影の犬と豆打ちぬ
- ものの芽や美術館の芝庭一変す
- ステッキ派かポール派か歩行難には気遣ひの春
- 「心寂し川」瀬戸で百年と老船頭
自分史
竹内 洋平
- 囀りを人語とおもふ目覚めかな
- 春一番きのふの日記消し去りぬ
- 自分史の空白の日々亀の鳴く
- 少年の空のかたさよ梅三分
- 自分史に踏み絵のいくつ鳥雲に
寒の貌
北 悠休
- 雪の虹渡つて来るや野菜市
- 遠火事や遠吠えしたる消防車
- 鳰の首出でてホワイトアウトかな
- 余震なほ屋根裏に棲む余寒かな
- こんげ雪びちやればなじらドンドハレ
静御前の墓
岡本 葉子
- ひとときの墓の話よ初松籟
- 古毛糸編む母の背へ日の燦燦
- 風花や静御前の墓いくつ
- 法要のzoom 配信寒の晴れ
- 春は遅遅けふより砂利の駐車場
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)