ピックアップ同人句 同人とは?
2021年6月
遊人句日記抄
島 青櫻
- 清明や地球を包むみえぬもの
- 往日の花はなあらためて還りくる
- 令和三年深むしじまを花ひらく
- 野遊びの汝がしぐさ愛しけれ
- さへづりや声なきこゑの音なるべし
加齢村
添田 勝夫
- さえかへりさえかへりして加齢村
- すれ違ふ人の無言やふきのたう
- 肩力抜きゐて春の光かな
- 催花雨となりコーヒーはブラックで
- 初花やコーヒー店のなぽりたん
ヒヤシンス
神宮 安見子
- 人のゐる方へ寄り来し春の鴨
- 蝶ひらひら「しあはせ地蔵」首傾ぐ
- 曇天の午前九時半初音かな
- 振子時計の分解掃除梅屋敷
- 子の描きし夕飯メニューヒヤシンス
西の棟
山岸 由佳
- カーテンの裾の足首桜どき
- 犬抱いて降りゆく春の川音へ
- 春水の揺れゐし奥の歯に力
- 花屑の砂をあつめてゐる遊び
- 葉桜の影のまぶしき西の棟
ソナチネ
秋山 裕美
- 春昼や窓より売られゆくピアノ
- いくたびも手帳を開く日永かな
- 春ひと日庭に仕へて暮れにけり
- 一年の紙束を捨て春の月
- 隣家の子育つ満天星躑躅越し
柳
小林 根菜
- アネモネやショートステイの妻帰る
- 掌中の妻のゆくかた柳かな
- 花筏流さむと水増えにけり
- 客一人乗せて弥生の路線バス
- 娘来て窓開け放つ聖五月
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)