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炎環の俳句

ピックアップ同人句 同人とは?

2021年8月

遊行寺

三井 つう

  • 銭洗ふ池とやしじみ蝶ひとつ
  • 蜂羽音からだ残して祠見る
  • 老鶯やみなうつむきし六地蔵
  • 砂利道へ梅の実ひとつ雨青し
  • 夕闇へていかかづらの花あふれ

つばな穂に

高原 節

  • 再開のふれあひサロン若葉風
  • 左右ちがふ膝の病名やまぼふし
  • 三度目の緊急事態つばな穂に
  • 保育士の縞のエプロン新樹光
  • 集合の前の脇道桜の実

花蜜柑

鹿島 釣人

  • 島留学の寮に慣れし子花菖蒲
  • 薫風や爆弾にぎり一口に
  • 新緑の岬のハミング宙碧し
  • 島牧の牛のかたまり花茨
  • 鬼瓦の見上ぐ大宙花蜜柑

蔦青し

高山 桂月

  • 実梅まで五ミリ肩甲骨硬し
  • 外野手の戻らぬ時間木下闇
  • 蔦青し今季ベストの生まれさう
  • 快速の風に頷く濃紫陽花
  • 桃の香のてのひらのまま眠りをり

旅鞄

深山 きんぎょ

  • 変色の切り抜きの記事新茶汲む
  • 他愛なき言葉掛け合ふ夏の朝
  • 夕闇の迫る僧坊著莪の花
  • 風生の旅行鞄や夏の雲
  • 青東風や行き処なき旅鞄

聖五月

永田 寿美香

  • 緑蔭へ青銅の鳩くくの声
  • 黒塗りの赤木白書よ青嵐
  • 軽トラの仔豚の尻尾聖五月
  • 潮騒の耳朶へ涼しき晶子の忌
  • 寡黙なる通勤電車山滴る


同人とは?

炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。

このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら