ピックアップ同人句 同人とは?
2021年9月
東上線
吉田 悦花
- 用もなく出歩くなかれ蝸牛
- 大鉢のダリア抱へし東上線
- 夏空や目高六匹ゐる暮らし
- ささやきのやうに睫毛の汗すこし
- 電子レンジの中の閃光夏の果
啓明抄(弐漆零)
齋藤 朝比古
- 一本の橋に集へる祭かな
- 病室の明るさめきて青時雨
- 腑のひとつ取りたる母よ胡瓜揉む
- 蟻登る明るい家族計画へ
- 父の日やコロコロコロと掃除して
夜のバス
中嶋 憲武
- 青嵐どの子も柵を乗り越えて
- 蟻載せて赤芽柏の葉は船に
- 緑蔭のくじらの口を赤子出づ
- 老人が去り枇杷の種濡れてひかる
- 百合の香を忘れし夜のバスの窓
夏柳
佐藤 弥生
- ほうたるのひとつ星よりこぼれきし
- 夏柳詩育てをり朔太郎
- 白き蛾の峠の神の戸をたたく
- 安曇野の碌山に会ふ青葡萄
- 幼き日鰻もみあふ馬穴かな
青くわりん
中川 志津子
- 校庭にはづむ遊具よ青くわりん
- 泣き顔の長きまつげよゆすら梅
- 点滴の猫の通院梅雨寒し
- 正直に生き抜くちから蓮の花
- ドライブの記憶の旅路姫ほたる
波線
岡島 理子
- 夕焼の反対側の部屋にをり
- 極太の波線のつづく熱帯夜
- 革紐の長さ調節してビール
- 顔丸き少年サングラス似合ふ
- 邯鄲の夢覚め短夜の個室
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)