ピックアップ同人句 同人とは?
2021年10月
赤鱏
田島 健一
- 晩年は空豆むいて空のこころ
- うたた寝やトマトのよこの冷たい水
- ほそながい神様と釣堀にいる
- 赤鱏のくぼみをこころだとおもう
- 鮎を焼くひとをながれるしずかな字
シャッター
倉持 梨恵
- 青嵐羽ばたけさうなカーディガン
- 坂道を転がるやうに夏の蝶
- 工場の重きシャッター青時雨
- 草いきれガソリンスタンドの跡地
- 団地から軽装のひと濃紫陽花
金魚玉
冨田 蘭介
- 鬱の夜やひとりの部屋の金魚玉
- カンナ燃ゆ十三歳の金メダル
- 悪友のずばり一言星月夜
- うかうかと妻にだまさる良夜かな
- 宝籤の列の真中や終戦日
ゆく夏
天野 幸光
- 捥ぐや直ぐ無花果乳の垂れ始む
- 菜園のネット外すや夏の果
- ひぐらしや旧箱根路の関所跡
- 真鶴の岬くつきり今朝の秋
- ゆく夏やカレーの匂ひする隣家
盆の月
濱野 美芽
- 出発の遠き眼差しサングラス
- 群青や雲海うねる遠没り日
- 投函の両手で納め天の川
- 面会に秋の花束贈りけり
- 電話越しの窓に集へり盆の月
灼ける日
峰村 浅葱
- 鼈甲屋谷中煎餅屋の薄暑
- 灼ける日の亀すぐ水に戻りたる
- ひと揉みのかなはぬ神輿仕舞はるる
- 師の墓を洗ふ足らざることばかり
- 夏空や陽はまつすぐに交はらず
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)