ピックアップ同人句 同人とは?
2022年3月
冬晴
辺見 狐音
- 公園のベンチにふたり日脚伸ぶ
- 冬晴や区民広場の体操日
- 焼芋屋の親爺の髭の白くなり
- これからのこと考へし落葉かな
- 木枯や夜汽車の窓に富士の山
初雀
たむら 葉
- 初雀朝のひかりをつれてきし
- 読初や「苦界浄土」の新装版
- ふるさとの景のきらめき初ごよみ
- 取寄せの食積ベトナム・タイの色
- 乾びたる母の繭玉紅ほのか
壌歌(八七)
宮田 孝平
- 寒月の輪郭波となりにけり
- 冬鳥の声のあらさや土眠る
- 冴ゆる夜の連絡船の灯りをり
- 枯蘆の空青くあり放水路
- 葛飾の町低くあり冬霞
能天気
伊藤 俊昭
- 婚礼の力車の列や小六月
- 交友にも断捨離のあり根深汁
- 老ゆるとはすててゆくこと去年今年
- 能天気に生きて傘寿や大旦
- 茶房といふわが小宇宙四日かな
尖る音
髙木 岳
- 燕山荘誰もが受ける初明り
- 喰積やマラソン観つつ黒豆を
- 尖る音が通り過ぎるや枯木小屋
- 寝しなの子すこし熱めの玉子酒
- 鳥立つや葉の色残し草珊瑚
凍雲
奥平 黎
- 初買や父へ土産の「太郎焼」
- 人日や膝の屈伸ぎこちなし
- 大寒や踏んばりきかぬ父の膝
- 松過ぎし電波時計の細き針
- 凍雲に消ゆオスプレイの一機
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)