ピックアップ同人句 同人とは?
2022年7月
声
一ノ木 文子
- 弁当食ふそれぞれの距離あたたかし
- 一夜城の井戸曲輪跡鳥交る
- 葉桜やだあれもでない糸電話
- つぶやきの声の明るし余花の雨
- 角材の墨付け匂ふ薄暑かな
道着
大原 貴彦
- タンポポや持たぬ作らぬ入れさせぬ
- 夕つつじ空手道着の娘ゆく
- 新聞のまづは小説夏みかん
- 擦れちがふいつもの美脚松の花
- 血すぢより地縁筍飯炊けし
青嵐
丑山 霞外
- 身にたまるものの静かや春の月
- 帰り道ぶらんこのまだ揺れてをり
- 木の匙の掬ふスープや青嵐
- 父百歳母九十五五月来る
- まづ太鼓少し遅れて祭笛
生ビール
前島 きんや
- 戸締りの鍵音固しチューリップ
- 達磨さん転んだヒヤシンス真白
- 行く春やステンドグラスの青き鳥
- 駅前の観光ガイド夏帽子
- 午後二時の日照雨渚の生ビール
葱坊主
大西 ぼく太
- 助手席の信号待ちや花万朶
- バス停の小さきくちづけ春日傘
- 水甕の雨のぽつぽつ蛙の子
- 準備中のまかなひ食堂ツバメの巣
- コンマ以下集めてひとつ葱坊主
飛行船
西脇 あす香
- 土曜日のオープンハウス楠落葉
- 行く春や北を向きたる風見鶏
- 行く春や「みなとみらい」の飛行船
- 境内の露店閉まりて藤の昼
- 午後五時の鐘撞き終へし白躑躅
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)