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炎環の俳句

ピックアップ同人句 同人とは?

2022年10月

ゆつくり

関根 誠子

  • 刈り跡を鋭くめぐり夏の蝶
  • 雉子も来て吹かるる木陰大夏野
  • 里山やゆつくり蠅に留まらるる
  • 亡き母に似て老鶯の長小言
  • 那須青嶺びんぼふ草も元気なる

新庁舎へ

三角 千榮子

  • 新庁舎業務再開夏の雲
  • 朝顔のつぼみや第二駐輪場
  • 青あらし社務所二つのガスボンベ
  • 煉瓦造りの市民会館のうぜん花
  • 涼風やバス待つ刻の俳句論

大夕立

波田野 雪女

  • 現し世の遠ざかりゆく大夕立
  • 秩父嶺も武甲も見えず大夕立
  • 山鳩の声リズム良き今朝の夏
  • 世の中の弔辞あつめし星月夜
  • 卵かけ納豆ご飯暑気払ひ

星めぐりの歌(宮沢賢治)

北 悠休

  • 星迎へ赤きめだまの火伏神
  • 早池峰山の山伏神楽百舌猛る
  • デンデラ野へ蝦夷の笛や星涼し
  • ゴロスケホー座敷童子の居るテント
  • 夏つばめ銀河鉄道始発駅

八月三日・四日

このはる 紗耶

  • 雷鳴や真夜を豪雨が圧し潰す
  • 緊急安全確保アラート網戸揺る
  • 全山が泥水を吐く夏の暁
  • 油照寄せては返すヘリの音
  • 長靴を洗ふ夫へと麦茶つぐ

うすやみ

星野 いのり

  • 香水や鋏が何度でも拝む
  • みんみんやキッチンバサミ捨てられず
  • 蠟燭を人魚へ与ふ今朝の秋
  • プリズムを灰とどこほる踊りかな
  • いなづまや壜に漬かりし猫の肺


同人とは?

炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。

このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら