ピックアップ同人句 同人とは?
2022年11月
ひぐらし
稲見寛子
- ひぐらしや住むひとの無き大欅
- 葉月尽夕日ゆつくり沈みけり
- 草の穂や人それぞれの荷を負ひし
- にはたづみ少し小ぶりの秋の薔薇
- 大ひまはり社員認証かざす門
芒原
山口 紹子
- 芒原混み合へるまま吹かれけり
- すすきすすき埋もれてひとりきりになる
- 湿原の午後の無音や雲は秋
- グライダーのゆくへ見てをり大花野
- 頂上の闇を掠めし流れ星
枯れた香り
近 恵
- 水色の象の並んでいる残暑
- かさかさと鼓膜コスモス触れていて
- ひまわりの枯れた香りを抜けて行く
- 新しい顔の案山子の少し斜め
- あと三歩進めば満月に届く
秋初め
鈴木 まんぼう
- 台布巾の漂白終へし夜の秋
- 立秋の風に押されし桃紅展
- 妻迎への舟は手漕ぎのサッパ舟
- 今も濃きふるさとの闇天の川
- 「あんたがたどこさ」デイサービスよ秋の虹
夜の桃
新宅 待春
- 戦争とコロナに疲れ夜の桃
- 天高し半農半漁とんび鳴く
- 参番街の欅トンネル蟬時雨
- 秋空の写る水田遠き富士
- 低く飛ぶ夏蝶ひとつ理髪店
長らへし
松橋 晴
- 長息のスライドギター草の露
- 重力は光の速さあそび蔦
- 無関心空に潜めばあけび熟れ
- 初書きの一〇〇均ノート葛の花
- 門前のシャッターは錆び虫時雨
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)