ピックアップ同人句 同人とは?
2022年12月
カナカナカナ
榎本 慶子
- 遭難碑の高き基壇よ霧走る
- 水底の願ひのコイン星飛べり
- 塩分量制限背高泡立草
- ちちろ鳴く時間指定の宅配便
- 鍵掛けしままの故郷よカナカナカナ
糸瓜棚
新井 青葉
- 朝顔のいよよ小さき濃き色に
- 秋海棠の道つながりし父の墓
- 野辺に咲く野菊加へて供へたり
- 木造の南校舎よ糸瓜棚
- 二階まで届く金木犀の夜
紫蘇の精
竹内 美穂
- 対峙する白馬三山霧襖
- 牛方宿の土間の湿りよ秋の空
- 知らずして傷つく言葉酔芙蓉
- 「黙浴」の大き貼紙草紅葉
- 紫蘇の実を扱きし爪に紫蘇の精
タラコオブジェ
横山 惠子
- 屋上のタラコオブジェよ秋の空
- 「すごいぞ」の夫の大声秋夕焼
- 稜線の鉄塔の列秋澄めり
- 母の居ぬ庭の広さよ柘榴割る
- 指切りの囁いてをり秋海棠
異邦人
高橋 橙子
- ゆきあひの猫に尋ねん花野道
- 異邦人の町会入会小鳥来る
- 身に沁むやなほ開けられぬ子の日記
- 芋虫のころり思案のアスファルト
- 大仏の背にある小窓そぞろ寒
つけまつ毛
せき みちこ
- 木犀の香りはじめた日にしるし
- ひたひたと鹿の気配や水の森
- 憂鬱に檸檬ぶつけて搾りけり
- 林檎捥ぐ男は置いて行かうかな
- つけまつ毛のんびり剝がす文化の日
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)