ピックアップ同人句 同人とは?
2023年3月
マウスピース
萩尾 亜矢子
- 焙烙の余熱ごまめの目玉かな
- 役目終へし聖樹の行方星知るや
- 四人かはせしマウスピースの青冴ゆる
- いもうとの来て姉帰る二日かな
- 白塗りの手首宝恵籠よう揺れて
齋藤朝比古
曽根 新五郎
- 行く年のロボット案内係かな
- 一箱の中の残りの冬りんご
- 島の夜の暗さに冬の流れ星
- 亡き人も囲みの中に浜焚火
- 朝比古の俳句は写実龍の玉
寒波
川島 茅酔郎
- 煮凝りや昭和一桁生き残る
- 大くさめ独り暮らしを発散す
- 哲人のごとき貌して寒鴉
- 優等生を逃れて来る寒卵
- ソーラーの時計まちまち寒波急
葱畑
中川 志津子
- 青き空破魔矢返納日和かな
- 観覧車の届きさうなる冬銀河
- 寒牡丹小さきこゑを聞く力
- ワン切りの真夜の電話よ枯木星
- 十列の静かな空へ葱畑
足跡61
坂根 若葉
- 漫画本とポテトチップス置炬燵
- 花八手災害時用手押し井戸
- 新しき句会立ち上ぐ冬うらら
- どの国も子の笑み同じ降誕祭
- 木枯しや欅並木の街眠る
痛覚
小笠原 黒兎
- 初写真並べば低き母の肩
- 上着だけつけし舞ひ猿出でにけり
- 淡きもの罅より洩らす寒卵
- 痛みてふ電気信号虎落笛
- 冬林檎何してゐてもさみしき日
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)