ピックアップ同人句 同人とは?
2023年4月
冷たき足
三井 つう
- ことごとくうやむやなりし花やつで
- 鳥ごゑの一語こぼれし枇杷の花
- 妹に託し外出冬うらら
- 裸眼にて仰ぐシリウスだけの空
- 願ひはひとつ冷たき足をさする
春日
新井 青葉
- 母逝きし家や冬満月高し
- 日脚伸び納骨の日となりにけり
- 納骨や庭の山茶花散り惜しむ
- 骨壺をなでて春日を浴びせたり
- セコム解く暗がりにあるフリージア
テラス席
竹内 美穂
- 花街の井戸の小さき鏡餅
- 二人して豆撒く真夜のしづけさよ
- 聖ペトロとなりて逝く君春立ちぬ
- 春昼や蓋開けにくき缶コーヒー
- 春昼や予約二人のテラス席
水仙花
三橋 瑞恵
- 冬の灯や太宰の新説「カチカチ山」
- 焼き立てのパンの香りや寒に入る
- 美術部の奉納絵馬や明けの春
- 「高千穂」の銘の小筆や水仙花
- 老人のコロナ死者数月冴ゆる
二月の風
佐村 晶
- 荒畑を吹き抜ける風二月かな
- 子と同じ齢の梅のひらき初む
- 向かひ合ふ漢二人の春炬燵
- 犬急かせ雨後の若草踏みゆけり
- 春寒やコーヒーカップのひとり分
きさらぎ(参)
恩田 周子
- 春立つや整理進まぬスクラップ
- 東風吹くや富士塚にある力石
- 買出しの荷物雛菊の鉢ひとつ
- 二ン月の早すぎないか訃音入る
- 「雛の日長谷駅十時」との便り
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)