ピックアップ同人句 同人とは?
2023年7月
雫ほど
田島 健一
- 大学がたっぷり濡れて春時雨
- ゆるみなく水槽洗う五月かな
- 鳥の巣のなかより雫ほどの富
- 菜種梅雨パレードにひつような橋
- 鼻うたは新しいうた春の虹
蝶の昼
小熊 幸
- 夏隣止まりしままの腕時計
- 夏はじめ袋駄菓子の自由席
- 真昼間の三角公園初つばめ
- 速達の薄き消印花うつぎ
- 人形の服へアイロン蝶の昼
トルコアイス
上山根 まどか
- 公園のベンチの小銭春の塵
- 納豆の糸のあちこち子どもの日
- 緑雨みな明るき声で退散す
- ぶつかりし人の笑顔よ貸ボート
- どこまでもトルコアイスの疲れかな
竹の皮
鈴木 陽子
- 快晴やカプセルトイの花の種
- 芝青む母校のロゴのエコバッグ
- 筍の根を断ち切るや風かすか
- 爪立てて竹の皮剝ぐ嫗かな
- アロハシャツ羽織りアーリーチェックイン
護国神社
鐵 義正
- 連翹や雨の匂ひの細き径
- 城跡の護国神社よ春の雨
- 朝一に挿木へ語りかける妻
- かげろふへ入る無音の街宣車
- 夏近し三角形の更地かな
薔薇の朝
根岸 幸子
- 足場組む漢の声や夏近し
- 若葉雨クーピーペンシルみな削る
- 矢車草登校班の列乱れ
- ドーナツ屋の匂ふ脇道クレマチス
- 薔薇の朝つぼみは赤くふくらみて
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)