ピックアップ同人句 同人とは?
2023年8月
文庫本
植村 公女
- 昨日のお礼の電話余花の雨
- ポケットに文庫本あり沙羅の雨
- 公園で本読む人や作り滝
- 山積の岩波文庫アカシヤ咲く
- 葉ざくらや雨の重さの加りぬ
流れ
増田 守
- 水澄し水に流れの生まれけり
- 皇帝のやうに振る舞ひ蟻戻る
- 初茄子忘却といふ随伴者
- 開封の古代のロマン苔の花
- 夏の海深く眠りし難破船
魔女の舞踏会
竹内 洋平
- ジギタリス闇夜の魔女の舞踏会
- 半世紀読まざる医書を曝しけり
- 晩節の誘惑おほし葱の花
- 病む身こそ旅するこころ更衣
- 守宮鳴く週刊朝日最終号
宇宙の記憶
箱森 裕美
- ファインダー通して密の八重空木
- 揚羽蝶羽化せり死者に触れてきて
- 遺伝子に宇宙の記憶や桜の実
- しびしびと噴水低し八方に
- コマ外の短き言葉大西日
虚無僧
永野 宙
- 虚無僧と渡る丸橋青葉雨
- 諦めは悟りのひとつ蟇
- 母といふ大きうつはよ青葉風
- 梅雨蝶の影に重さのありにけり
- 用件メールに重き追伸夏の月
夏蝶
野田 万佐夫
- 夏来る白き軌条のモノレール
- 大南風空へ伸びたる映画館
- 夏つばめ小路を挟む海鼠塀
- 梅雨曇葬祭場の金看板
- 夏蝶や窓の格子の刀傷
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)