ピックアップ同人句 同人とは?
2023年11月
水際
三輪 初子
- ゆく夏や『はだしのゲン』のまだ読めず
- 橋のある川の濁りや藤村忌
- まだ水に流せぬものや水澄めり
- 老境の水際清し白露かな
- 一喝の清盛入道天高し
星辰
山崎 彩
- 墨汁の消す教科書や秋気澄む
- クラリネットの低音星の流れけり
- いのちの地球今宵スーパーブルームーン
- 裏庭の風通せん坊ばつたんこ
- マトリョーシカ何人隠すかなかなかな
鰯雲
飯沼 邦子
- 秋めくや今朝のアイロンよく滑る
- 新涼や余白に描く飛行船
- 新駅のがらんとしたる秋日かな
- 同じ日に生まれて育ち鰯雲
- パステルの四色灯下親しめり
朝の目覚め
千葉 楓子
- 眼の端に進む芋虫太りつつ
- 白桃剝くひとりの刻の長さかな
- 星涼し弾むふたりの電話口
- 風鈴の軽きに朝の目覚めかな
- カシスジャムの蓋の開けたる良夜かな
腰掛けて
内野 義悠
- きぬずれの音の近づく白露かな
- 豊年やキャリーケースに腰掛けて
- 役名の無きまま斬られ星月夜
- 友の子の名をまた問ひて草の絮
- 湯あたりの鼓動をさらし天高し
ひとり身
安田 勝彦
- ひとり身のひとりの旅や秋の雲
- 銭湯の大き木札や秋あかね
- 金賞にあなたの笑みよ菊花展
- 杖かろき御岳の山の走り蕎麦
- 明日なきと思ふいのちや鉦叩
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)