ピックアップ同人句 同人とは?
2024年2月
家族寫眞
岸 ゆうこ
- もの思ふ冬夕焼の跨線橋
- 跨線橋離れられない男冬
- 冬紅葉ちんまりしたる稿の文字
- 冬すみれ家族寫眞の太宰の眼
- 死なうかと言へばさうねと枯芒
賞与
西川 火尖
- 税引きの後の賞与の骸かな
- 税抜かれ賞与残骸引き取りぬ
- 子に誇るほどの賞与は見たことなし
- 二万円下す兎の如温し
- 何を買ふでもなく溶けし賞与かな
かう2
松本 美智子
- 罅割れしスマホの画面冬に入る
- 抱き上げしややの匂ひや初時雨
- 透き徹る床の奈落の寒さかな
- 沈黙のワラヒカハセミ冬日差
- 脱ぎ捨てしセーターの意志崩れゆく
からくり
鈴木 健司
- 日の満ちてより静かなる寒鴉
- 万人のからくりめきし散紅葉
- 山眠る下校チャイムの木霊せり
- 先生の青きマフラーに触りたし
- 山眠る屋上灯す観覧車
憂国忌
永田 寿美香
- 綿虫の重しや人の死の軽し
- 落ち葉踏む足裏の冬の音いくつ
- j o k e r の手札に余る憂国忌
- 短日のバス短日へ右カーブ
- 銀笛の吐息の刹那冬銀河
歯車
久保 たんぽぽ
- 老優の今日は殺され石蕗の花
- 開く手のグミの七色十二月
- 文旦や肩甲骨のストレッチ
- 人形の胸の歯車ポインセチア
- 風花や淋しきふりをしてゐたり
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)