ピックアップ同人句 同人とは?
2024年3月
新館
藤田 良
- 降誕祭背もたれ高き椅子並び
- 新館の放射線科へ黒セーター
- 冬の鵙放蕩詩人の厭戦詩
- 家伝薬座売りの板場冬すみれ
- 自転車のテニスラケット枯木立
初鏡
原 紀子
- 母よりの小さき真珠や去年今年
- 紅薄くさして一人の初鏡
- 布掛けて鳥ねむらせし冬の月
- 約束のままの約束冬木の芽
- 日の差して鳥来る気配ななかまど
サンラーメン
伊藤 俊昭
- ゴーギャンの濃き生涯や冬銀河
- 妻と分つサンラーメンや年惜しむ
- 喫茶店の隅の定席大旦
- 大册の「ゾルゲ」の伝記初草子
- 老い方に上手下手あり寝正月
寒紅梅
冨田 蘭介
- 再会の人の健やか寒紅梅
- 会釈する人の目やさし冬帽子
- 再会のひと夜やポインセチア赤
- 駄句ひとつ捨て切れぬまま除夜の鐘
- サイフォンの珈琲沸沸女正月
しづり雪
濱野 美芽
- 侘助の一輪供す月命日
- 右上がりの文字隅々に古暦
- モノクロの写真に見入る掃納
- しづり雪グリム童話の裏話
- 初詣干支の形の飴細工
出発進行
國武 学
- 柔らかき席の車両や冬ぬくし
- 廃レール利用の柵や冬ざるる
- 洗ひ難きフォークの先よ冬木立
- 初電車運転台の横の窓
- 去年今年五年日記のページ前へ
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)