2014年10月
ほむら通信は俳句界における炎環人の活躍をご紹介するコーナーです。
炎環の軸
- 石寒太主宰の講演・吟行等のご予定
10月12日(日) 戸隠吟行(~13日・炎環吉井句会)
10月16日(木) スカイツリー吟行(千葉句会)
10月31日(金) 軽井沢吟行(~1日・炎環万燈会)
11月 9日(日) 高津俳句大会にて川上弘美氏と対談
11月24日(月) 諏訪吟行(~25日・洋洋句会) - 総合誌「俳句界」(文學の森)に石寒太主宰が連載中の「牡丹と怒濤――加藤楸邨伝」。10月号は「第19章 楸邨の芭蕉研究への傾倒(後編)」。本章では、『加藤楸邨全集第11巻』に、石寒太主宰が執筆した解説文を、引用して掲出しています。その『加藤楸邨全集第11巻』には、楸邨著『芭蕉全句下巻―その発想を中心として』のうち、元禄2年から元禄6年までの芭蕉句に対する評釈が納められており、その評釈は〈芭蕉の芸術としてもっとも高まった「軽み」の時期の句をとらえて、あますところなく詳細に検討している、現段階における質量ともに最高の芭蕉文献である〉と、主宰は評価しています。そして、本章で主宰が最も主張したい点は、〈加藤楸邨の芭蕉研究の特質は、作り手としての内的要請から出発したもの〉だということ、つまり楸邨は〈俳句を作る中で芭蕉を研究し、芭蕉研究の方法の中で骨格のある俳句も作られた。「真実感合」もまたこの中で生まれたのである〉という点です。連載の全体から見れば、本章は、4月号(第13章)以来続く、中村草田男の「楸邨氏への手紙」に対する反論の一部で、草田男が楸邨の「真実感合」を、〈自意識の気分だけを勝手に対象の中へ、投影さし、注入さす放埒さ〉と難じたことに対して反駁する、という文脈の中にあります。
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)10月号の「俳句で夜遊び、はじめました」(岸本葉子氏)が、「雨の大文字句会」と題して、8月16日主宰も参加した京都大文字句会の模様を紹介しています。〈「大文字を見ながらする句会があるんです。どうですか」。石寒太さんがおっしゃった〉。筆者は心を動かされ、〈句会のあらましを事前に寒太さんに伺えば、関西の若手俳人による超結社の集まりとか〉。二人は共に新幹線で京都へ。途中〈おにぎりを食べていると〉、米原・京都間で大雨のため運転見合わせ中との車内放送に〈えっ、と喉を詰まらせる〉。京都には〈幸い予定どおり〉に到着。ただ、〈豪雨のため特急電車に閉じ込められてしまった宮本佳世乃さん〉は到着できず。この句会は〈参加者のひとり岡田由季さんの句集が出たので、そのお祝い会を兼ねて〉もおり、〈雨とあいまって、それぞれの胸により深く刻まれた大文字だった〉ということです。
- 結社誌「俳句饗宴」(鈴木八洲彦主宰)9月号の「俳誌燦燦」(主宰)が〈気の遠くなるまでひとり鳥の恋 石寒太〉を抄出。
炎環の炎
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)10月号の特集「余韻・余白を生む!「平明」と「沈黙」の力」に浦川聡子が寄稿。「平明」の名句10句を選出し、「恩寵のように」と題して、〈「平明」という表現について思い巡らせたとき、モーツアルトの音楽が浮かんできた。単純化された旋律と純度の高い和声で構築されており、わずかな音の高低が音楽に翳りと耀きを与えている。飯田龍太の「一月の川一月の谷の中」は、まさにその象徴のような作品。「初案も改案もない」と龍太自身がエッセイで書いているように、まさに天啓のような作品なのだろう。平明な句とは、得ようとして得られるものではなく、心を澄ましていることで賜るものなのだろう〉と論述。
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)10月号「平成俳壇」小島健選「秀逸」〈新しき遺影へ放つ蛍かな 曽根新五郎〉
- 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号が「第9期蕪村顕彰全国俳句大会」の受賞者を発表。「入賞」に〈船窓の太平洋の良夜かな 曽根新五郎〉、同句は茨木和生・三村純也「特選」。
- 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号の「句会レポート」に長濱藤樹が「「炎環万燈会」報告」を寄稿。句会は8月6日東京・新宿京王プラザホテルにて開催。〈「万燈会」は東京都式根島に生まれ、今また式根島に帰り、教師を務める曽根新五郎を囲む「炎環」の支部句会〉と紹介し、当日の石寒太主宰特選・本選・予選の各句と、新五郎選の上位句を報告。
- 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号「投句コーナー」豊田都峰選「秀逸」〈土器の囁きあへる五月闇 長濱藤樹〉
- 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号「投句コーナー」西池冬扇選「秀逸」〈万緑や透きとほりたる昇降機 松本美智子〉
- 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号「投句コーナー」保坂リエ選「秀逸」〈五時までを遊びし五月五日かな 曽根新五郎〉
- 結社誌「雲取」(鈴木太郎主宰)10月号の「句集・俳句書存問」(物江里人氏)が齋藤朝比古句集『累日』を紹介し、〈本句集を不思議な感覚で読み終えた。多様で独特な世界が提示されているが、いずれもしっかりとした観察から生まれた自然な俳諧味。「ちちははが金魚の部屋に座りゐし」はどこか異界を思わせる。感性の独自性が際立つ〉と批評。
- 結社誌「遠矢」(檜紀代主宰)10月号の「新刊俳書紹介」(片岡眞紀子氏)が齋藤朝比古句集『累日』を紹介。