2014年12月
ほむら通信は俳句界における炎環人の活躍をご紹介するコーナーです。
炎環の軸
- 石寒太主宰の講演・吟行等のご予定
2015年1月18日(日) 炎環新年句会にて講演 - 総合誌「俳句界」(文學の森)12月号の特集「著名俳人 俳号の謎」において「種田山頭火」の項を石寒太主宰が執筆。〈山頭火の号についての由来は、彼自身の記述はないが、もっと新しい文学を目指そうとする彼には、勢いを感じさせる号が欲しかったに違いない〉と解説。
- 総合誌「俳句界」(文學の森)に石寒太主宰が連載中の「牡丹と怒濤――加藤楸邨伝」。12月号は「第21章慟哭から遥かなる祈りへ――句集『野哭』の軌跡(前編)」。〈「楸邨の句集で一冊だけを」、そう問われれば、私は即座に『野哭』と答えざるを得ない〉という筆者(寒太主宰)。『野哭』は昭和23年2月刊行。〈『野哭』のちょうど中程に位置したところに、「野哭抄」という章があって、「述懐 七句」が掲げられている〉、その7句に〈「ほんとうの自分の声」を生かそうとする楸邨の姿勢が、一貫して表れている〉と筆者は着目し、その中の一句「死ねば野分生きてゐしかば争へり」が〈『野哭』の大きな特色となっているとみてもいいだろう〉と指摘します。戦争によって〈ともに生きてきた友人が、次々に骸と化して還る中で、生きている自分(楸邨)〉が、〈戦後の、窮乏と混乱と不安のドン底に〉あえぐ庶民を直視し、これを〈直截に、しかも力強く詠嘆してくれている〉『野哭』ですが、しかし、そればかりではなく、この時期、楸邨は、中村草田男からいわれなき非難を受け、〈精神的に深く傷つい〉ていたことも、連載を読み続けてきた私たちは知っています。〈「争へり」は、何に対しての語句であろうか〉と筆者は問い続けます。
炎環の炎
- 東京新聞10月26日「東京俳壇」鍵和田秞子選〈団地旧り干し物も旧り秋高し 片岡宏文〉=〈団地が旧び干し物も旧びて高齢化が進むと特別に気付いたのは、秋空の蒼さと澄んだ高さ。季語が動かない〉と選評。
- 東京新聞10月26日「東京俳壇」小澤實選〈井戸水の溢るる手桶こぼれ萩 本田修子〉
- 毎日新聞11月3日「毎日俳壇」大峯あきら選〈台風に止まりしままの時計かな 辺見孤音〉
- 東京新聞11月23日「東京俳壇」小澤實選〈本を読む眼鏡末枯見る眼鏡 片岡宏文〉=〈老眼鏡と近眼鏡ということだが、末枯がいい。本を読んでいた眼鏡を変えて、窓の外を見ている。静かな生活がある〉と選評。
- 毎日新聞11月24日「毎日俳壇」鷹羽狩行選〈朝寒や救急病院非常口 前島きんや〉
- 総合誌「俳句界」12月号「投句コーナー」有馬朗人選「特選」〈月光に黒髪濡らし身ごもれり 松本美智子〉=〈美しい月の光によって、身ごもったように思えてくる。若妻の美しさが神秘的に描かれているところが佳い〉と選評。
- 総合誌「俳句界」12月号「投句コーナー」(兼題「年」)名和未知男選「秀作」〈母と子の一年生の夏休み 曽根新五郎〉
- 「第51回現代俳句全国大会」(現代俳句協会、10月25日)作品総数15033句の中より特別選者高野ムツオ選「特選」〈夏草や一人にひとつ頭蓋骨 増田守〉
- 京都新聞11月3日のコラム「詩歌の本棚(句集)」(南うみを氏)が岡田由季句集『犬の眉』を紹介し、〈しやぼんだま見送りてから次を吹く〉〈風船を持たされて父煙草吸ふ〉〈スカートの膝を抱へて毛虫焼く〉〈枯芝に思ふぞんぶん菓子こぼす〉などについて〈私たちが見逃しがちな何気ない行為に、俳句が潜んでいることを教えている〉と批評。
- 結社誌「青垣」(大島雄作代表)10月号の「俳句の秀峰」(遠藤雅子氏)が〈黙禱といふ八月の棒となる 齋藤朝比古〉を取り上げ、〈八月は鎮魂と祷りの月である。瞑目して頭を垂れ、黙祷する時、人間は一本の棒となる。掲句により、戦時中の記憶が甦って来た〉と鑑賞。
- 結社誌「暁」(室生幸太郎主宰)11月号の「受贈句集を読む」(岡崎淳子氏)が齋藤朝比古句集『累日』を紹介。〈390句の割には小ぶりな句集、その一句一句が新鮮。憧憬と敬意を抱いた〉と述べ、〈数へ日の手帳ふつくらしてをりぬ〉について〈巻末に近い優しい一句に、充実した俳句の時間が見える〉と鑑賞。
- 結社誌「小熊座」(高野ムツオ主宰)11月号の「星雲観測-近刊句集鑑賞-」(津高里永子氏)が「直感から直観へ」と題し、岡田由季句集『犬の眉』を紹介、19句を選んで鑑賞。その中で〈沈黙を兎のひげにくすぐらる〉については〈兎なら「耳」へと、だいたいの視線が向くところを「ひげ」に行くという、この逸れ具合がなんとも心地良い〉と、〈六月のレコード盤といふ渚〉〈空蝉を集めすぎたる家族かな〉〈霧の這ふ卓球台の上と下〉〈白障子声を綺麗にするための〉は〈それぞれ、組合せたものの質感の相似を巧みに調節して、一句をセンスよく纏められている〉と、〈釣堀の通路家鴨と歩きをり〉は〈よたよたと歩く家鴨を追い越しできなかったことに滑稽味と、「釣堀」「通路」の「ツ」、「家鴨」「歩く」の「ア」のリズムとを同時に直感して一句に収めるという適応性にも富んでいる作者〉と批評。
- 結社誌「風土」(神蔵器主宰)11月号の「現代俳句月評」(南うみを氏)が〈運動会静かな廊下歩きをり 岡田由季〉を取り上げ、〈学校の運動会の動と静が、作者の確かな感覚を通してさりげなく、そしてみごとに捉えられています〉と鑑賞。
- 結社誌「雲取」(鈴木太郎主宰)の「百花風生」(鈴木太郎氏)が〈冬の雲好きな鏡に映りをり 岡田由季〉を取り上げ、〈旅心を宿した冬の雲が、街中の好きな鏡に姿を映す遊びごころ〉と鑑賞。
- 俳誌「歯車」(前田弘代表)360号の「一書一句」(受贈句集より弘氏抄出)が〈帚木の好きな大きさまで育つ 岡田由季〉を採録。
- 結社誌「門」(鈴木節子主宰)11月号の「風韻抄」(鳥居真里子氏)が〈沈黙を兎のひげにくすぐらる 岡田由季〉を採録。
- 結社誌「百鳥」(大串章主宰)11月号の「季節の秀句」(原田暹氏)が〈呼び交はすやうにをちこち帰り花 岡田由季〉を採録。
- 機関誌「現代俳句」(現代俳句協会)12月号の「ブックエリア」で、こしのゆみこ氏が「ココロココニアラズ」と題して岡田由季句集『犬の眉』を紹介。〈どくだみや一塁ベース踏みなほす〉を〈どくだみがホラーぽく、何度踏み直そうと、この走者がホームに戻れる確率は少なそう〉と、〈冬の雲好きな鏡に映りけり〉を〈冬の日、雲が映りたいビルの窓ガラスや池や川の水鏡をきょろきょろ探しながら流れて行く様子が楽しい〉と鑑賞。そして〈この「一塁ベース」「好きな鏡」は一章と四章のタイトル。一句が持つ印象と一語の持つ印象のギャップを由季さん自身が楽しんでいる〉と批評。また〈朝礼の一人上向く今朝の秋〉〈デパートの海側にゐる冬はじめ〉〈海の家解散式のうしろの波〉などに、〈由季さんの視線のゆらぎ、心ここにあらず感がおもしろい〉とも。