2015年1月
ほむら通信は俳句界における炎環人の活躍をご紹介するコーナーです。
炎環の軸
- 総合誌「俳句界」(文學の森)1月号巻頭の「俳句界ニュース」が「第7回高津俳句大会」をレポート。石寒太主宰と川上弘美氏とのトークショーを取り上げ、その写真を掲載し、〈川上氏の著書『センセイの鞄』を踏まえ、登場人物と作者の共通性、俳句と小説の共通点や違いについて語られた。また、川上氏の好きな俳句、自作の俳句も紹介され、バラエティーに富んだトークショーとなった〉と記述。
- 総合誌「俳句界」(文學の森)に石寒太主宰が連載中の「牡丹と怒濤――加藤楸邨伝」。1月号は「第22章 慟哭から遥かなる祈りへ(中編)」。前回に続き、句集『野哭』(昭和23年2月刊)について。句集名となった「野哭」という語は杜甫の詩に見られますが、楸邨はこの語を独自に解釈して、「戦乱に苦しむ中国の民衆は、野にあって天を仰いで哭した」のであり、「日本に野哭はなかった、中国にはあった」という考えを文章に表しています。これを参照して筆者(寒太主宰)は、〈日本にはなかった野哭をあえて句集に冠したところに、作者の切なる気持が現れていたというべき〉と述べ、これは〈敗戦の深い傷を負って生まれた憤怒・慟哭の句集〉であり、ここに〈著者の真骨頂はうかがわれ〉ると評価します。つづいて『野哭』にあるいくつかの句を鑑賞。内容は筆者の著書『加藤楸邨一〇〇句を読む』とほとんど同じですが、〈金庫が発する金属音〉に〈楸邨の心の内の悲痛〉を感じ取り、闇市の〈雉〉に〈いわれなき戦争責任の追及の矢面に立たされていた〉楸邨を重ね合わせるなど、筆者の師を慕う、その深い思いが、切々と胸に迫ります。
- 毎日新聞12月16日が〈日本橋倶楽部100周年祝う〉という見出しで、「日本橋倶楽部俳句会」第17代選者を務めている石寒太主宰の公開講演会の模様を報道。同俳句会の初代選者は内藤鳴雪。その後は、久保田万太郎など著名な俳人が選者に。記事によれば〈石氏は「伝統ある句会として責任を感じる」と語った〉とのこと。
- 『俳句年鑑2015年版』(KADOKAWA)の「全国結社・俳誌 一年の動向」が炎環の昨年の動向と石寒太主宰を初めとする炎環36名の昨年の代表句を掲載(「動向」は丑山霞外編集長が執筆)。
炎環の炎
- 「第18回毎日俳句大賞」(毎日新聞社)が、応募総数約1万2500句(一般の部)を予備選考によって1520句に絞り、10名の選者により各々、予選通過句から上位3句、秀逸10句、佳作30句を選出、さらに再審査により、大賞1句、準大賞2句、優秀賞4句、入選24句を決定。炎環からの応募で選者入選句は以下のとおり。
◇「入選」〈バンザイのあとの両手や昭和の日 三輪初子〉=同句は小川軽舟選「上位」〈壮行会か何かで締めにバンザイをした。そのことがふいに戦時中の記憶を呼び覚ました。出征する兵隊をバンザイで見送った自分の両手。自分にとって昭和とは何だったのか〉と選評。
・宇多喜代子選「秀逸」〈恐竜の骨より梅雨のあけにけり 曽根新五郎〉
・大串章選「秀逸」〈朝礼の校長の手に猫じやらし 竹内洋平〉
・大峯あきら選「秀逸」〈朝顔に今朝の水やる典座かな 武田漣〉
・大峯あきら選「秀逸」〈武蔵野の端より夕立来てをりぬ 飯沼邦子〉
・有馬朗人選「佳作」・鍵和田秞子選「佳作」〈夏空や草の匂ひの火焔土器 前島きんや〉
・小川軽舟選「佳作」・黒田杏子選「佳作」〈からつぽの母の箪笥や夜の蝉 小熊幸〉
・大串章選「佳作」〈広沢に数定まりて残る鴨 島井由美子〉
・小澤實選「佳作」〈口つけし蛇口の味や夏の雲 伊藤航〉
・小澤實選「佳作」〈おしろいの咲いて都電の走る町 鈴木まんぼう〉
・鍵和田秞子選「佳作」〈昭和残像山盛りのふかし藷 鈴木まんぼう〉
・金子兜太選「佳作」〈妻と子の帰宅や真夜のチューリップ 伊藤航〉
・金子兜太選「佳作」〈盆口説き父の調子と重なりし 鹿島釣人〉
・黒田杏子選「佳作」〈文京区本郷金魚坂驟雨 谷村鯛夢〉
・石寒太選「佳作」〈死海より戻りし水着洗ひをり 結城節子〉
・石寒太選「佳作」〈蓮の実の飛んで二台の車椅子 小嶋芦舟〉
※結社別予選通過句数においては、「炎環」は62句で、「鷹」の85句につぐ第2位。 - 朝日新聞12月1日「朝日俳壇」稲畑汀子選〈長き夜や俳句と言ふに辿り着く 池田功〉
- 朝日新聞12月1日「朝日俳壇」長谷川櫂選〈行くもまた帰るも酉の市の人 池田功〉
- 東京新聞12月14日「東京俳壇」鍵和田秞子選〈一つづつ雲の溶けゆく寒さかな 片岡宏文〉
- 読売新聞12月17日「読売俳壇」の「枝折」が岡田由季句集『犬の眉』を紹介。
- 総合誌「俳句界」(文學の森)1月号「投稿」(兼題「笛」)野村研三選「秀作」〈指笛に指笛応へ大花野 曽根新五郎〉
- 総合誌「俳句界」(文學の森)1月号「投稿」(兼題「笛」)森潮選「秀作」〈テーブルの銀の横笛秋陽燦 長濱藤樹〉
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)1月号が「第9回角川全国俳句大会」の選考結果を発表。応募総数は自由題10808句、題詠「星」3552句。11名の選者が各々、自由題特選5句、秀逸20句、題詠特選2句、秀逸5句を選出。それらの中から自由題部門大賞1句、準賞3句、各賞4句を、題詠部門大賞1句、準賞1句、各賞4句を決定。炎環からの応募で入選句は以下のとおり。
・茨木和生選「秀逸」〈海からの三月十一日の声 曽根新五郎〉
・宇多喜代子選「秀逸」〈冬ざくら隊列解かぬ兵の墓 加藤美代子〉
・宇多喜代子選「秀逸」〈四五頭の牛かたまれり秋の水 辺見狐音〉
・高野ムツオ選「秀逸」〈根元から洗ふ筆の穂冬銀河 鈴木陽子〉 - 「小林一茶188回忌全国俳句大会」(長野県信濃町11月19日)が応募総数4308句から15名の選者(石寒太主宰もその一人)により各々、特選1句、秀逸3句、佳作35句以内を選出、その得点により各賞を決定。金子兜太選「佳作」〈駆け足の女の胸のうさぎかな 伊藤航〉
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)1月号が「俳人230名が選ぶ!注目の若手俳人21―under40―」と題し、40歳以下の俳人21人の新作を掲載、さらにその21人以外に、アンケートの結果から「もっと読みたい!注目の俳人」として33人を紹介。その中の一人に宮本佳世乃。
- 総合誌「俳句」(KADOKAWA)1月号の「俳句月評」(川口真理氏)が〈はんざきや体に熱のこもれる日 岡田由季〉を取り上げ、〈取合せの妙。「体に熱のこもれる」も言えそうで、言えない独特の身体感覚。静かな身体の発する声に耳を澄ませて、ゆったりと言葉を惜しんで素早く一句をなした〉と鑑賞。
- 結社誌「蝶」(味元昭次主宰)209号に掲載の「『胸に突き刺さる恋の句』(谷村鯛夢著)に触れて」(尾崎淳氏)が、〈冒頭から圧倒された。読み進み、繰り返し読む中で女性(女)の強さに、完膚なきまでに叩きのめされてしまった〉と感想を述べ、〈本書では、自分を縛りつけた紐を解き、ノラを目指した女性俳人の見事なまでの「成長」の姿を見ることができる〉と批評。
- 結社誌「海程」(金子兜太主宰)12月号の「句集逍遥」(服部修一氏)が岡田由季句集『犬の眉』を取り上げ、〈「唇の鏡に映る昼寝覚」「水音のあるひと晩の春愁」「しぐるるやピアスするとき首傾ぐ」など、抒情と詩的な感性で満たされた作品が本句集の大宗を成しているように感じた〉と述べ、また〈次の句はこれまでに見ない視点でつくられている〉として「かなかなや攻守の選手すれ違ふ」「象を見る日傘と象の背の日傘」「追ふ蝶と追はるる蝶の入れ替はる」を挙げ〈際だった二物が躍動感を伴って対比される特異な構成であり、きわめて意図的な作句法といえる〉と批評。