2022年10月
ほむら通信は俳句界における炎環人の活躍をご紹介するコーナーです。
炎環の軸
- 炎環同人で女優の水沢水音さんが投稿しているYouTube番組【水沢有美の I Love It ! 】に、石寒太主宰がゲスト出演し、ご自身のこと、俳句のことなどについて、たっぷり語っています。
炎環の炎
- 総合誌「俳句」(角川文化振興財団)10月号の「作品12句」に、齋藤朝比古が「選ばれて」と題して、〈scrap & buildの音の灼けにけり〉〈がしやがしやと来てどんと置く生ビール〉〈選ばれて掬はれてゆく金魚かな〉〈真つ先に下船麦藁帽子の子〉など12句を発表。
- 総合誌「俳句」(角川文化振興財団)10月号の「角川俳句賞作家の四季/秋」に第67回受賞者岡田由季が、「アンテナ」と題して〈アンテナが目印の山秋日和〉〈引く声と押す声のあり虫の夜〉〈入口にみせばやの鉢旗竿地〉〈牡鹿声絞り出すとき舌も出し〉〈赤蜻蛉磁石の向きを変へてみる〉など15句を発表。
- 「第31回信州伊那井月俳句大会」(伊那市)が応募総数1352句から、伊藤伊那男氏、近藤柊雨氏ほか審査員により大賞等各賞(計12本)を決定、9月11日表彰。
・「入選」〈ほうたるや地図より消えし村ひとつ 北悠休〉=古田紀一選「佳作」・堀川草芳選「佳作」 - 総合誌「俳壇」(本阿弥書店)10月号「俳壇雑詠」
・山田貴世選「特選」〈昭和とふ酢つぱき時代心太 赤城獏山〉=〈昭和の時代は二十年を境とする戦前と戦後で大きく変る。アメリカと連合国軍の統治下、日本は昭和二十六年のサンフランシスコ平和条約で独立を回復。上五中七の措辞に戦後派として育った作者の感慨が滲む。季語も利いた〉と選評。
・山田貴世選「秀逸」〈自分史に戦争の無し沖縄忌 曽根新五郎〉
・加藤耕子選「秀逸」〈一枚の日めくり握る沖縄忌 曽根新五郎〉 - 総合誌「俳句四季」(東京四季出版)10月号「四季吟詠」
・渡辺誠一郎選「秀逸」〈子規堂のものみな形見ほととぎす 曽根新五郎〉
・渡辺誠一郎選「佳作」〈餡蜜や傀儡の開ける赤き口 松橋晴〉
・渡辺誠一郎選「佳作」〈靡かねば人は生きられず赤まんま 赤城獏山〉
・冨士眞奈美選「佳作」〈かなかなやなかつたことに冥王星 阪上政和〉
・寺井谷子選「佳作」〈客去れば拭くテーブルの薄暑かな 曽根新五郎〉
・水田むつみ選「佳作」〈八月の鮫の臭の雨の降る 赤城獏山〉
・加古宗也選「佳作」〈翡翠の飛び込む池の暗さかな 赤城獏山〉
・鳥居真里子選「佳作」〈流灯の消えゆき父の声きこゆ 赤城獏山〉
・鳥居真里子選「佳作」〈青春はロシア民謡踊子草 森山洋之助〉
・今瀬剛一選「佳作」〈華厳滝光背とせる紅葉かな 赤城獏山〉
・髙橋健文選「佳作」〈花菖蒲水棹ゆるりと姫船頭 赤城獏山〉 - 総合誌「俳句界」(文學の森)10月号「投稿欄」
・鈴木しげを選「特選」〈花でいご母の記憶の扉かな 山内奈保美〉=〈遠き日の母の記憶が何であるかは示していない。あるのは梯梧の花の強烈な赤である。その赤に導かれる母の体験は戦火ではないのか。ぼくの独断かも知れない。単にたのしくうつくしい記憶であるならば「記憶の扉」などとは詠むまい。俳句の奥深さを感じる作〉と選評。
・稲畑廣太郎選「秀逸」〈涼しさや森の続きの無人駅 赤城獏山〉
・大串章選「秀逸」〈たましひの遠出してゐる昼寝かな 曽根新五郎〉 - 総合誌「俳句」(角川文化振興財団)10月号「令和俳壇」
・星野高士選「秀逸」〈梅雨寒のエレベーターの鏡かな 松本美智子〉 - 朝日新聞9月11日「朝日俳壇」
・大串章選〈浮雲や稲田の隅に墓一基 谷村康志〉=〈嘗て稲作に励んだ農夫が、今は墓となり稲田を見守っている〉と選評。 - 読売新聞9月13日「読売俳壇」
・宇多喜代子選〈三ページすすむ栞や今日の秋 谷村康志〉=〈酷暑の間は読み進めなかった本が立秋の今日は三ページ分読めた。現実にはまだ暑いのだが、読書の秋である〉と選評。 - 毎日新聞9月19日「毎日俳壇」
・片山由美子選「一席」〈牛乳をなみなみ注ぎ今朝の秋 谷村康志〉=〈「今朝の秋」は立秋の朝をいう。秋と聞くだけで何となく暑さから解放されたような気になり、食欲も出てこようというもの〉と選評。 - 毎日新聞9月19日「毎日俳壇」
・西村和子選〈跡継ぎを子に拒まれて盆の月 谷村康志〉 - 産経新聞9月22日「産経俳壇」
・宮坂静生選〈病得て素直になりぬ白桔梗 谷村康志〉 - 読売新聞9月26日「読売俳壇」
・宇多喜代子選〈虫の音や声を聞きたくなる手紙 谷村康志〉 - 産経新聞9月29日「産経俳壇」
・宮坂静生選〈もの言へば仏出さうな溽暑かな 谷村康志〉 - 産経新聞10月6日「産経俳壇」
・寺井谷子選〈炎熱や手持ち無沙汰の西郷像 谷村康志〉 - 愛媛新聞9月17日のコラム「季のうた」(土肥あき子氏)が、《好きなものいふとき小声吾亦紅 柏柳明子》を取り上げ、〈ものごとへの好き嫌いの感情は人それぞれ。嫌いの感情は、確かな理由をつけながら拒絶を高めていくため、比較的言語化しやすいといわれる。一方、好きなものの理由は自身の中でも閉じ込めがち。小声は自信のなさではなく、不安や恥じらいによって招かれる。好きなものが明確な理由で拒絶された場合の胸の痛みも頭をよぎる。吾亦紅が揺れ動く心に寄り添うように赤く灯る〉と鑑賞。句は句集『揮発』より。
- 総合誌「俳句四季」(東京四季出版)10月号の「俳句へのまなざし」(大西朋氏)が《むきだしの腕の太さよ一気に夏 一ノ木文子》を取り上げ、〈「むきだしの」という上五によって、視界に入ったその腕の太さが生々しく見えてくる。肌の露出が多くなる夏。正に「一気に夏」がやってきた〉と鑑賞。句は「俳句界」8月号より。
- 総合誌「俳句」(角川文化振興財団)10月号の特集「俳句用語を捉え直す」における「滑稽」の項を担当した山根真矢氏が、「滑稽に潜む寂しさ」と題した文章の中で、〈現代の日常における寂しさを表現している滑稽句〉の一つとして《普段着の余所行きめいて盆帰省 齋藤朝比古》を引用。句は『俳句年間2022年版』より。
- 結社誌「沖」(能村研三主宰)9月号の「沖の沖」(主宰)が当月の句を抽出し、その12句中の1句に《水旨き国に生まれて墓洗ふ 三輪初子》を採録。句は句集『檸檬のかたち』より。
- 結社誌「門」(鳥居真里子主宰)9月号の「風韻抄」(主宰)が当月の句を抽出し、その6句中の1句に《戦争の終はらぬ星の星まつり 三輪初子》を採録。句は句集『檸檬のかたち』より。