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主宰・石 寒太

寒太独語 2023年

「炎環」主宰・石 寒太による俳句の箴言を毎月ご紹介します。


炎環同人総会にて。
寒太主宰の誕生日でもあり、ビールでお祝い。

2023年12月(No.129)



俳句は一期一会。

表現することばも、一期一会。

中古や再生ではない。

この一期に、この一会。
その表現が、あなたの俳句。

生涯の一句になるのである。

2023年11月(No.128)



俳句は、考える想像だけでは、類想、類句に。

そうではなく、足でつくる。

考えるより、歩く。

「犬も歩けば」俳句かな。

とにかく歩き眼で見、足でとらえること。

2023年10月(No.127)



季語の有効性を問う。「歳時記」に載っています。
そう答える人がいる。

「歳時記」は、時代とともに、常に動いている。

新季語は生まれる。
が、珍季語は、一時のもの。

歴史と充分な体験、そして洗練に耐えて生まれる。
自分の体感と季感が、ひとつになってこそ、
本当にその俳人の季語になるのだ。

2023年9月(No.126)



群れない。慣れない。頼らない。

ひたすら、自分ひとりの、俳句に命を懸けること。

つづければ、必ず、自分の、俳句になる。

あきらめない。それがあなたの俳句。

2023年8月(No.125)



子どものころ、はじめて知った、

あの感動を、あなたは忘れていないか。

それをとり戻したい。

芭蕉も言っている、「俳諧は三尺の童にさせよ」。

長く俳句をすると忘れてしまう。

あのわくわくした、はじめてのこころを。

2023年7月(No.124)



○○のやうに」「○○のごと」「○○に似し」と、比喩表現にしてしまう人が多い。

比喩はうまく使うといい。が、何でもこれを多用すると、易きについて、クセになる。

なるべく断定して、自分の句にすること。

即物的に、自分のことばに、彫り込むこと。

安易に流れないこと。じっと我慢することだ。

2023年6月(No.123)



「きのふの吾に飽く」これは芭蕉のことば。

とどまっていたら、何も始まらない。

一歩前に踏み出そう。

それが新たな俳句を、生み出すのだ。

そこから、あなたの、新しい俳句が、はじまる。

2023年5月(No.122)



名句をつくるには、秀句を読む。

俳句の勉強は、それにつきる。

「温故知新」(古きを温ねて新しきを知る)

古典でもいい、現代俳句でもいい。

となりにいる、俳句ライバルでも、いい句はいい。

2023年4月(No.121)



観念より事実 抽象より具象 思いより言葉。

身近なものを、自分の眼で、体で体感する。

それがそのまま、あなたの俳句になる。

思っているだけでなく、過去や未来より、眼前のいまをつくる。

2023年3月(No.120)



俳句をつくる。
一歩一歩進む。
ただただ平凡に、俳句をつくる。
それだけではすまない。

次第に、句の中に作者が投影されてきて、「われ」がみえてくる。
作者の顔が出てくる。
その人の生きて歩んだ軌跡が、あらわれてくるのだ。

そのうちに、俳句がないと、生きられなくなる。
俳句は生きる証。
その人の人生そのものだ。

2023年2月(No.119)



俳句づくりのたのしみは、どんな句ができるのか、自分でも分からないところ。

物をよく見、事に即し、自分のこころを句に投影する。

そこに、俳句の快もある。つくってみないかぎり、自分で前もって予測できないところ。

その楽しみのために、つくるのである。